マンションの共用部に置かれた置き配で人が負傷!責任や法的見解|株式会社R-JAPAN

マンションの共用部に置かれた置き配で人が負傷!責任や法的見解

マンション共用部の通路に荷物が置かれており、別の部屋の住民がつまづき転倒してケガを負いました。 ケガをされた住民から、荷物を置かれていた入居者へ、「置き配をしないでほしい」「治療代を払ってほしい」と管理部を通して電話がありました。

管理部としては、まず事実確認をすべく両者へのヒアリングをしたところ、置き配をされていた入居者から

入居者の言い分

  • 「仕事の関係で家に戻るのが夜半(22時前後)になるので通常の宅配では荷物を受け取ることができない」
  • 「休みも不定休で、日常の買い物等も置き配を利用しないと生活が難しい」
  • 「引っ越した時は、特に置き配に関して注意事項ではなかった」
  • 「そもそもこのマンションには宅配ボックスがない」
  • 「置き配は不可抗力だ」
  • 「宅配ボックスの設置がないのはオーナーや管理会社にも責任の一端はあるのではないか?」
  • 「賃貸の契約時に何の注意もなく、こんな問題が起きたら私だけの責任なのか?生活形態の変化でマンション内の環境設備が整っていないことの責任は免責なのか?」

と、管理部やオーナーまで巻き込まれた問題に発展しました。

管理部としては

  1. 賃貸借契約や案内時に置き配が禁止事項とは説明していなかった。
  2. 置き配の想定はしていたが、負傷する事案までは想定外であった。
  3. 賃貸借契約で置き配を禁止事項にしていなかった。

この場合、管理会社やオーナーも責任を問われるのでしょうか?
《こんな時どうする?》4つの視点で検証してみました。

★第一の視点★⇒オーナー

オーナーの言い分

ケガを負われたことは、申し訳ないと思うが、

  • そもそも宅配ボックスの設置場所がないので、「置き配をしないでほしい」は物理的に不可能な話である
  • 仮に設置できたとして、その費用やコストを家賃に反映できるのか?
  • 品物の紛失等があった場合のトラブル等に巻き込まれたくない。
  • オーナー責任と言われても、置き配をした本人や業者、ケガをした方はまったくの無過失と言えるのだろうか?貸主(所有者)だけが責任を負うのは納得がいかない。

★第二の視点★⇒管理会社

管理会社の言い分

  • 先述した3つの問題は過失を問われるのでないか?
  • 今となっては、賃貸借契約に禁止事項として明記する必要があったのではないか?
  • 置き配として共用部に物を置く行為は緊急時の避難上からも消防法で禁じられている
  • 清掃の観点からも破損や紛失の問題も発生する
  • ネット販売利用の拡大や宅配業者の再配達問題で、禁止は難しい。
  • 一方で防犯意識の高まりから禁止の方が望ましい

★第三の視点★⇒国土交通省

国土交通省の言い分

マンションの管理規約の標準モデルの改正において、分譲マンションでの置き配を可能とする指針を示しており、一定のルールのもと「置き配」は社会通念上法的問題とはならないとしている。

★第四の視点★⇒弁護士の見解・解説

弁護士の見解・解説

置き配の荷物が通行の妨げとなり、それが原因で転倒した場合には、置き配を指定した賃借人又は配送業者、またはその双方に、不法行為に基づき治療費等の損害賠償責任を負う可能性があります。

もっとも、転倒した側にも落ち度(過失)があることも考えられ、過失相殺による損害額の減額があると思われます。

オーナーや管理会社の損害賠償責任については、共用部の狭さ・照明の有無・稼働状態・置き配のルール設定や、通行の妨げ・事故発生の可能性の予見があらかじめある場合は、損害賠償責任を負う可能性は十分にあります。
特に管理会社は国土交通省の社会通念上法的問題はないとされていることに関して、拡大解釈せず管理物件個々の特徴を把握しているのだから、オーナーや賃借人に注意喚起をするのは業務上の範疇に入ると判断される可能性が高いです。

まとめ

この問題、奥が深いと思いませんか?
まだ明確な解決策は見出せませんが、例えば「置き配利用規定」を作成して入居者や入居予定者に配布。賃貸借契約の重要事項説明書に明記する。置き配ルールや責任の所在を明記・告知する。時間指定による受け取りやコンビニ等での受け取りを推奨する。といった事で未然に防ぐことが、今できる事かと思います。

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