日本の建築物におけるクラックの知識建物のクラックはどうして起こるの?|株式会社R-JAPAN

建物のクラックはどうして起こるの?

クラックは乾燥や経年劣化、地震、交通状況等の揺れにより生じます。
(クラックとは:亀裂やひび割れのことです。外壁の他に内壁や基礎部分に生じます。)
また建築建材自身(モルタルやコンクリート床や外壁・内壁の継ぎ目に使う目地(コーキング)に生じます。
クラックができる原因には以下のものがあります。


①乾燥
➁揺れ
③経年劣化
④異なる建材の強弱による干渉
⑤材料の混合不十分(馴染み不良)



《詳しく見てみます》
乾燥とはモルタルやコンクリート等、水分を含む主に外壁建材が、建築後水分が抜け続けて(概ね10年~15年)乾燥状態になり生じます。
また外壁の表面塗膜が、乾燥が進行し(概ね同年)ひび割れが生じます。

地震や交通状況等の揺れによって建物に揺れと揺れ戻しの力が加わり(不等加重)、コンクリートやモルタル、タイル等の外壁材・内壁材が部分的に耐えきれなくなり、加圧が大きい場合には特にタイル等では欠損する場合もあります。

経年劣化で最初に症状が出るのは、サイディングボードやタイル等のつなぎ目を塞ぐ目地が硬化し、また地震等の揺れ(縦揺れ・横揺れ)によって亀裂が入り肥大化しクラックとなります。

主に内壁に発生するクラックでは、コンクリートや鉄骨部分に窓枠のアルミサッシや扉等、異なる建材やそれらの強度の違いによってお互いが干渉し合い、その結果弱い部分に亀裂(クラック)が入ります。

モルタルを塗る際に、一度乾いてしまった部分に上から被せ塗りをすると、馴染みが一体化しないで、同種類の建材でも乾燥具合や塗りムラが原因でクラックを生じさせてしまいます。
特に塩化ビニール系素材とモルタル等は、素材自体の相性が悪く、しっかり乾燥させて二次工事の工期スケジュールを守らないと、クラックが起こる要因となります。

クラックを防ぐには?

『①乾燥』『③経年劣化』に対しては、それを前提とし12年周期(国土交通省推奨期間)の再塗装等、定期点検・修繕計画を組むことで、ある程度防ぐことができます。
※建物の周辺環境によっては期間の伸縮がございます

これは余談ですが、特に一棟の建物では敷地の有効活用を優先し、敷地の目一杯の広さで建築される場合が多く、そうなると軒を長く取れなくなります。
そのため劣化スピードが早くなりクラックが発生するスピードも比例して早くなります。
かつての日本家屋(今でも京都ではよく見かけますが)では軒が長く、白い漆喰の壁を使うことで、漆喰の壁(外壁)自体が湿気や乾燥を吸ったり吐いたりして劣化を防ぐ役割をしていました。(内壁の珪藻土仕上げも同様です)

『②揺れ』を原因とするクラックに対して、建材技術が上がっており特にモルタルの技術進化が顕著です。
以前はモルタルの下地には、金属製のアミが使用されていましたが、最近では更に目の細かい樹脂製を採用したことで、揺れを上手くいなせる(逃がせる)ようになっています。
また、地震の揺れは建物の角の部分や窓の角などに力が集まり、そこからクラックが生じますが、その対策として下地のアミの張り方を工夫することで、クラックを生じさせない施工技術が標準化しています。
一方、軟弱地盤地などでは建物の一部が沈み込む(不同沈下)ことで建物自体の歪みや構造クラックを生じることがありましたが、2009年に「住宅瑕疵担履行法」が施行され、実質的に地盤調査が義務付けされました。
もし次の物件を購入される計画があれば2009年4月以降に建築確認申請の届出
(注)がある物件を検討されるとより安心です。
(注)建築確認の許可が下りた年月日ではありませんので建築確認番号の日付ではなく建築契約概要書の届出の日付で確認します。

その他、『④』『⑤』では、リフォーム価格の値引き交渉等で粗悪な建材や経験の浅い職人に工事をさせるケースが原因で発生する人的被害が一因という側面もあります。
しっかりとしたリフォーム業者で発注することをお勧めします。

まとめ

日本の季節は四季があって過ごし易い一方で国土が狭く建物と建物の隙間や道路に接面して建築物を建てなければいけません。
よって高温多湿の環境に置かれる建物も多く、地震大国でもありますから、全ての建築物でクラックを完璧に防ぐことは不可能です。
これ以外にも

・建材の乾燥による収縮
・世界的な気候変動がもたらす異常気象や気温変化の乱高下
・大気中の塵や埃
・不同沈下
・施工不良
・コンクリートの中性化


これらが単独で、また複合で建物に襲いかかります。
そこで日本の建築物では「クラックを防ぐ」という考えではなく「クラックを生じさせ力を逃す」という考え方で、建築物の施工を行っております。

つまり「クラックは起こるもの。クラックを起こさせて力を逃がす。但しできるだけクラックが入らないように建材の進化や施工の進化、職人の技術向上、過去の災害(阪神・淡路大震災や東日本大震災等)から学ぶこと」という4つの認識と共有からクラックへの対処を続けています。

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